じんぐり 近況

 中越で被災(俺自身が)していた8ヶ月の間、

 当方の愛鼠である、

 リチャードソンジリスのジングリは、

 和魂の婆の処に預けていた訳だが、

 先日中越から帰還し、

 返してもらったまではいいんだが、

 これが尋常ならざる肥満具合を呈しており、

 ところどころ毛が禿げたその容貌は、

 怪異極まり、

 まるで化け物まるだしの様相で、

 俺は、

 心底たまげた。

 毛饅頭の化け物が、そこに居た。

 




 リチャードソンジリス(オス)の平均的質量は、

 400グラムである。

 しかしながら、

 ジングリの質量は、

 この時、

 1000グラムを越えており、
 
 単位がキロに変じており、

 まるで達磨である。




 性格も豹変しており、

 凶暴温和うんぬん以前に、

 終日、

 意識不明の爆睡。

 寝ても覚めても寝っぱなし。

 夏なのに冬眠。

 



 この豚のように肥満した愛鼠に対して、

 急遽敢行されたのは、

 隙あらばバターとかチーズとかを配給する、

 婆という凶悪な兵站部隊と、

 なんでもかんでも与えられるだけ食べるという、

 加減を知らない馬鹿鼠との補給線を、

 「 別居 」という物理的手段によって断絶させ、

 質量を減少せしめようとする計画である。





 この計画によって、

 婆と隔離され、

 和魂の直轄下において補給の制限を受けたジングリは、

 およそ70日の比較的貧しい配給が幸いし、

 ようやく770グラムまで体重の減少に成功。

 歩行困難な状態まで低下していた機動性が、

 ようやく、

 「 散歩 」という日常生活が可能な状態まで回復。

 



 補給線の凍結という、

 人間・鼠双方にとって、

 精神的苦痛の大きいこの計画は、

 結果的に双方の信頼関係が深まるという副次的効果も生み、

 最近のジングリは比較的スマートになった上、

 「 呼ぶと来る 」などという画期的な作戦行動も展開できるまでに成長していた。





 当然、油断が生じる。




 先日、

 職場に転がっていたカブトムシが、

 今回の犠牲者である。



 ウチに持って帰っていた和魂は、

 生来の杜撰さから、

 この甲虫をトートバックで飼育していた。






 必然、逃げる。( 上が開いているからな )






 まぁ、

 それは、いい。





 カブトムシとて、生き物である。

 たとえ背骨はなくても、

 自由を標榜する心根は理解できないでもない。

 実害もなかろう。

 ちっちゃいから。




 というわけで、

 毎夜ごそごそお出かけするカブトムシを、

 小生はそのまま放置していた。



 で、喰われた。

 ジングリに。


 
 しかも半分だけである。(どかん



 哀れ。

 半身不随ならぬ半身なしとなったカブチョン。(カブチョンは個体名)



 硬いほうの羽のカタッポをもぎ取られ、

 飛ぶ用の薄い羽も引きちぎられ、

 背中のあたりを広範囲に渡って摘み食いされ、

 文字通りのぼろぼろ。

 それでも生きようと、

 半死半生の呈で、

 必死に足を動かし、

 ジングリの住まう金網のゲージから逃れんと足掻く。

 自分で入ったくせに。( ←自己責任論




 片や、

 傷害致死の有力な容疑者であるジングリはと言えば、

 傲然と達磨座りでニンジンを齧っている。



 どうやら、

 ケージに迷い込んだカブチョンを、

 やおら乱暴に味見してみたところ、

 かなりの時を経て

 齧っている物体が、

 さして美味しくもなく、

 第一に、

 あまり自分が空腹でもないことを思い出したらしく、

 全力で対象を半殺しにした途中で、

 無体にも放置プレイに移行したと、

 俺は見た。(←冷静かつ冷淡



 非道である。( お前が言うな

 この鼠は、

 あろうことか、

 同衾者を食した。

 家族を食べた。

 共食いである。( うるさい



 

 やおら帰宅した我が家において、

 かように凄惨な食物連鎖が起こっていようとは、

 夢想だにしていなかった小生、

 さっそくカブチョンを摘み取り、

 全体この生き物、

 なぜゆえに体の半分を失いながら、

 未だ生命活動を停止していないのか興味を満たそうと、

 拝見。






 ぐろい。

 えぐい。

 逆眼福である。( そんな日本語はねえ






 二目と見れたものではない。

 なんだこれは。

 内臓がないぞう。( 不謹慎爆発




 とゆー次第で、

 今や可愛らしい甲虫から一転、

 えぐいゾンビ虫と化したカブチョンは、

 これ以上苦しませるのも無体といえば無体なので、

 リードペーパータオルに包み、

 冥土へとリードすべく、

 手ごろな革靴で殴打。

 カブチョン・ぺちゃんこ。

 玄関前の名前の分からない植木の横に葬り、

 殺害の下手人たる小さな猛獣の現状を確認する。























 寝てる。





 

 仰向けで鼻呼吸。






 ジングリは、とても気持ちよさげである。






 








 弱肉強食の世界を、

 飼い主に再認識させてくれるペットは、

 そうそう居まい。






 大事にせねば。





 しかしながら、

 実家で飼っていた犬といい、

 この鼠といい、

 何故小生が飼育する生き物は、

 猫を食ったり、
 
 カブトムシを食ったり、

 無茶を好んで行うのだろうか?




 なぜかなあと、

 俺ぁ考えたが、

 よくよく考えると、

 小生自身が、

 蛇を捕って喰ったり、

 蜂の子を捕って喰ったり、

 いろいろ余計なものに蛋白源を求めている。








 ふむ。












 確かに、グルメに罪はない。






 あるのは原罪であり、

 悪いのはキリストであるという帰結を得、

 やっぱり宗教が全部悪いのが分かり、

 ようやく責任の所在があやふやになった。




 これで筆が置ける。




 宗教は便利である。



 やはり必要悪であるといえよう。




 カブチョンに合唱。




 ジングリは元気です。
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by 201V1 | 2005-09-07 01:02 | カテゴライズ前・生ログ
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