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スカイ・ハイ


今日、ひとつのブログが事実上の閉鎖を迎えた。

お気に入りのブログである。






ブログって何かね。

なんだろーね?

日記だったりね、ゴミ箱だったりね、慟哭だったりね、そりゃあ沢山あるさ。






だがね。熱をもったブログってのは、そうそうあるもんじゃあない。

なんでって?

そりゃあ、熱を出すには特別なエネルギーが要るからさ。

馬力って意味じゃなくてね。

燃料って位置づけでのエネルギー。

人の身でありながら、熱を発する文章を書くには、特別なエネルギーがいる。






特別な燃料がなきゃあ、いい熱はでない。

でもね、終わる時はそうじゃあないんだ。

熱がでるのはエネルギーがあるからだけど。

熱が出なくなったのはガス欠の所為じゃあない。

タンクが空になったから、終わるわけじゃあない物語だってある。








役目を果たし終えたとき、機関はその動きをやめる。







鳥が、飛ぶ必要があって、空を飛ぶように。

ヒコーキも、飛ぶ必要があったから、飛んだんだ。






特別な燃料があろうとなかろうと、

熱を出せようが出せなかろうが、

飛ぶ必要があるから、鳥は空を飛ぶ。

理由があって飛ぶんだよ。












だから役目を果たしたら、それは当然去っていく。








役目ってのにも色々あってね、

書き手にとって必要だから生まれた、メモ帳や日記の代わりってスタンスの役目もある。

一方じゃ、管理者の自己分析と自己発見のための道具ってカタチもあるだろう。

勿論、ブログの利点を生かした「場」としての機能を期待されて生まれたページだってある。

変わり種としちゃあ、うちみたいに、創作の前の景気付けってふざけた理由もあるワケさ。








役目ってのはそれぞれ。

で、今日閉鎖を迎えたブログの「役目」ってのは、ちょっと毛色が違っていたワケよ。











低空飛行ってブログは

山田・言葉屋・たま嬢の、3人が共有するページだった。

今現在、2万件以上登録されているエキブロのなかでも、これは相当奇異なスタイルだろう。






で、このブログが「特異」だったのは、この3人が何処にでもいる単なる「仲良しトリオ」じゃあないってトコにある。







3人の関係は極めて特殊である。少なくても石を投げれば当るような、ありふれた関係ではない。果たして隕石で当るかどうかという貴重な関係だ。


それぞれの人生の「大きな分かれ道」に立っていた「無印の道標」として、3人は互いを意識している。


厳密にいうと、それは意識・無意識という観念の世界の話じゃあなく、実際に「運命を分けた」「世界を変えた」人間が、山田にとっての言葉屋とたまで、たまにとっての山田と言葉屋だったワケだ。(言葉屋はブログをつくったことで、たま嬢にとっての道標となった)

山田が自分の人生を決定的にした瞬間を振り返ろうとする時、かならず言葉屋とたま嬢がいる。

数年後、同じようにたま嬢が振り返る時、そこにはやはり、山田と言葉屋がいるだろう。

言葉屋は2人を見つめる目撃者として、生涯証言台に立ち続ける運命にある。

それは特別な燃料だ。













ブログスタートの本当のきっかけが何だったかは想像の域をでないけど、とにかくこーゆー3名の共同というカタチで低空飛行は運営されていた。








このブログは、3人にとって必要だったのだろう。

テキストという媒体を通し、山田とたまは、互いの気持ちを伝える必要があったのだ。

それを知ってか知らずか、言葉屋が山田にブログを与えた。

そして歯車は廻りだす。




「ひとつの段階」として、3人にはこの作業が不可欠だったのだと思う。

その点で、ブログという土俵はラブレターとは比較にならない効果をあげたことになる。

そして、見事この「段階」をクリアした3人は、僕達の前から姿を消した。








低空飛行は、毎日ものすごい量のコメントで溢れ返っていた。

しかしながら、それはオマケである。

第三者の共感は素晴らしい励みになる。生きる勇気になるのは確かである。

けれども第三者はどこまでも第三者でしかない。

コメンターはどこまでも「部外者」である。

事実、低空飛行は最後まで、3人のものだった。

それを部外者たる我々は、納得ずくで見つめていたと思う。

だから宴の終わりを告げられた今も、

急逝した作家の作品に対するような恋慕の気持ちはない。

お気に入りの旅人が去った後の、宿屋の丁稚みたいな気分でいる。










実際には、ブログ停止のきっかけは、山田の彼女のハコにある。

まぁ、これに関しては、小生も「いいや違う」とはいえない。

流れ的にあれがトドメになったのは間違いあるまい。

ただし、それはきっかけである。

ただのきっかけだ。

紆余曲折はあったろうが、ケジメはちゃんと3人がつけた。

もっといえば、既に潮時に近づいていた。

で、ブログは凍結された。











ブログを続けられたかどうかを考えると、多分続行は可能だったろうと思う。

IDを変えるなり何なり、方法はいくらもあったはずだ。

けれどもそーゆー選択はなされなかった。

何故か?

まぁ、ぶっちゃけ「疲れた」というのは本当だろう。

3人の関係を思うと、このスタイルで連続航行するのは並大抵の体力では不可能だ。





おそらく、たま嬢が千万の意味で相当苦しむことになる。

山田と比較すると、彼女は過去との決着がまだ済んでいないからだ。

山田はなんだかんだいって、相当の部分で自分にケリをつけている。

自分事と他人事では、前者のほうがはるかに早く決着がつくからだ。

で、言葉屋はやさしーので、たま嬢の苦しみを容認できない。

正確に言えば、言葉屋は「これ以上のブログ上での活動」に、これまでのような価値がもうないことに気がついていたと言える。

まさしくそれは、正しいだろう。










すべてに限界はある。

そして「最初」はずっとは続かない。

いい効果をいつまでも維持するのは至難である。

現実には不可能といっていい。

「想い」は尽きないが「言葉」はいつか尽きる。

テキストという媒体を通じた「想いのぶつけあい」をするには、

山田もたまも、あまりにも誠実で真摯だった。

恋愛にありがちな「かけひき」のない直球の投げ合いをすれば、

いつか投げる球はなくなってしまう。

そして言葉をまぜっかえし、変化球に頼り、かけひきに興じるようになれば、それはもう低空飛行ではないのである。










小生は、最古参の部外者の1人である。

低空飛行の創世記からリアルタイムで見てきている。

はじめはただの「涼しげなブログ」だった。

最初期の頃である。

山田のたま嬢への片思いがわずかに匂い、たま嬢も根っこの方で山田を憎からず思っており、それを全部知っている言葉屋がおり、そんな3人の運営するサイトが気持ちよかった。

急激に低空飛行が「熱」を発し始めたのは、山田が「本音」を書き始めた頃だ。

そして全部を巻き込んで、歯車がうなりをあげて回転し始める。

どこかで予期してはいたが、その歯車が廻る背景を知るたびに、ますます引き込まれていったのを覚えている。







最後の方で、熱の色が変わった。

おそらく「言葉が尽きた」のだろう。

山田は真摯だったから、直球を放るための残弾がゼロになるのが早かった。

たま嬢は、まだほんのちょおっぴり、直球を投げる球を持っていたが、肩を壊しつつあった。




小生はこの頃、「よくやったなあ。山田、たま、立派だ。」と思いながら読んでいた。



そこでハコちゃんが乱入してくることになる。ある意味ベストといえば、いえなくもないタイミングであった。そして低空飛行は唐突にエキブロから姿を消す。















いつか、また彼らに会えるかなあと思う。

山田は帰ってくるかもしれない。

言葉屋も帰ってくるかもしれん。

たま嬢だって帰ってこないってワケはねえ。

けれども、3人と低空飛行で会えることを望むのは、流石に少々無茶だろう。

ひょっとするかもしれないが、オッズ的には相当厳しい。

そしてこの願いがかなった時、低空飛行が違う燃料で飛ぶことも頭ではわかっている。

わかっちゃいるが、まぁでも、期待するだけならバチはあたらねえだろうと思う。














「段階」を越えた3人は、きっと違う形でこれからも互いに響きあっていくに違いない。今度は我々の見えない世界で。






いつか「余計な」書き込みをして、山田に散々突っ込まれた。



=お三方に伝えたいことがあるんですけど誰かが言い出すまで言いません=



というナメたコメントを小生が入れたのである。山田は「ピン」ときたようで、すかさずガンガン突っ込んできた。





正に山田が「ピン」ときた通り、小生はそれを願っていた。

それが1番自然なことのように思えたからだ。

しかし山田は「そりゃ間違ってる」とプンプンだった。

小生と山田のどっちが正しいのかは、今もって神の味噌汁である。




















いいブログだった。



いい友達だった。



またいつか会いたいと素直におもう。



人嫌いの小生としてはメズいことである。












とうとうお別れになっちまったなあ、山田。




俺ぁよぉ。おめえとオフで飲みたかったぜぇ。

記憶が飛ぶまで飲みたかったなあ。

カラオケで「V3のテーマ」を歌ってやりたかった。

お前にぴったしの歌なんだ。


元気でなぁ。

身体に気をつけるんだぞ。

風邪なんかひくなよ。

==============================友に敬称略
by 201V1 | 2004-05-25 01:20 | ●低空飛行に捧ぐ
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