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やってきた人

最近、思い出すカップルがいる。

10歳で神奈川から伊豆に移って5年。

丁度、15歳の頃。

僕が、戦いに明け暮れていた頃。

だんだん、嵌ってきた頃。

そのカップルはやってきた。

僕の5つ上だったから、当時20歳のカップルだった。





神奈川にいる頃、同じマンションに住んでいた男の子だ。

うちとは、家族ぐるみの付き合いをしていたけれど

うちが引っ越した当時、彼はまだ15歳だった。

だから、それから5年たって、20歳になったとき

彼の記憶の中にあったのは、うちの家の立つ地名と、伊豆半島のどこかに

うちの家族が住んでいるということだけだった。





うちの地名は、そのころからマイナーだった。

世帯数が2つしかない。

だから、伊豆の人間だってまず誰も知らない。

この地名を知るのは、極めて少数だ。

知名度は半径12キロ。

それでも海辺の町では、知らない人も多い。

常識的に考えれば、まず来れない。

でも、

彼は来た。

それだけを頼りに、

うちの両親を頼って。






実は事情はよく覚えていない。

思い出そうとするんだが、明確な答えがでない。

子供が出来た。

結婚したい。

どうしよう。

とか、そんなんだったような気がする。

もしかしたら、親の反対とかあったのかもしれない。

鮮明に覚えているのは、

5年ぶりに会う彼の、一心な顔だった。

混乱しながらも、一心に、何かに向かっている顔だった。





子供ながら、彼に凄いオーラを感じた。

神奈川にいるときは無茶苦茶な子だと思っていた。

10歳の自分から見ても彼はちょっと無茶苦茶な子供だった。

でもね、5年ぶりに会った彼は

無茶苦茶のまんま、すごく純粋だった。

すごい気迫だったよ。






子供だった僕は、その時、なんだか難しいことはわからないけど

すげえと思った。

押されたよ気迫に。





彼のことを思い出すと、なにか暖かくなった。

なりふりかまって生きることを、彼は全身で「ちがう」って言ってるようだ。

D兄ちゃん。

最近ね、10年前に、うちに飛び込んできた君の顔を思い出すよ。

すごい迫力だった。

ありがとう。
by 201V1 | 2004-06-11 21:49
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