クソのような記憶。



べつにね、ドギツイ青春を送ってきたってワケじゃねえ。

ドコにでもある、つまんねえ話さ。




今の俺なら一撃でアタマ張って踏ん反りかえってるデクの耳をブッチぎって、

そのまま口に放り込んで噛み潰し、丸のまま飲み込んで、

それを見て固まってやがる雑魚どもの喉を一個ずつブッ潰せば解決できちまう喧嘩だった。

トラブルの種を一撃で廃人にして全部がキレーに片付くちょこざいな話。

ナンバー2の目玉の中に指突っ込んでかき回し、

2度と歯向かえねえ恐怖心を叩き込めばもう何も起こらねえ。

クソみたいにくだらねえ連中さ。

群れることしかできないタコども。

なんの覚悟もなく、50人がかりで平気で人を襲うクズ。

つまらねえ話だよ。





だがね11年前の俺は、へなちょこ野郎もイイトコで、

あんな屁タレ共と戦うのにさえ消耗しちまうシミッたれたガキだった。

「 誰も一緒に戦ってくれない」

そんな甘ったれた気持ちで、全部を隠蔽しようとする大人たちを憎んでた。

世界を憎みながら、呪いながら、ズタボロになりながら戦ってた。

気がつくと、いつも机を人差し指で叩いてた。

「 くたばれ。くたばりやがれ人間共。」ってね。

ありもしない核ボタンを、年柄年中押していた。

教室で、図書室で、理科室で、パソコン室で、ずっとトントンやっていた。

怨嗟の言葉を吐きながら。

ずっと思ってたぜ。

「 クソ共と刺し違えてやる 」ってね。

笑わせるぜ。

クソガキが。

手前が「 納得いかねえ 」っておっぱじめた戦いじゃねえか。

何が「 誰も助けてくれない 」だ。

馬鹿か、てめえは。

お前がススンデ始めた戦いだろうが。

イヤならハナから犬になるのを選べばよかったんだ。

喧嘩を選んだのは手前じゃねえか。

泣き言ぬかすんじゃねえよ、自意識過剰のボンクラが。

お前は何を期待してたんだ?

皆がお前の盾になってお前の意地をかけた戦いに参戦してくれるとでも思ってたのかよ?

死に晒せ。ド阿呆が。

お前の戦いは、お前が望んで始めたもんだ。

お前だけのものだ。

ふざけるなよイカサマ野郎。

そんな気概で喧嘩をやるから、手前は未だにビビリなんだよ。

11年経っても、幸せが怖くて仕様がねえんだ。

未来に希望があればあるほどお前は不安になっちまう。

失うのがこええからだ。

単機で突っ込むのは平気でやりやがるくせに、

死ぬのも屁とも思わねえくせに、

平和を勝ち取っちゃったらどうしようって思っちまう。

途端に幸せを失うのがこわくなっちまう。

そうなる自分を予見できるから、幸せが手に入りそうになると足がすくんで動けなくなる。

とんだ狼少年だぜ。

なにが「 地獄 」だよ。

お前が見たのは入り口ですらねえ地獄の手前の裏路地だ。

おめえがそんなになっちまったのは、あの3年間の所為じゃねえ。

戦いを始めた時のお前の気概がふざけてたからだ。

あそこにゃあ、地獄なんてなかった。

あったのはヌルイ暴力と裏切りだけだ。

お前の気概がそれに耐え切れなかっただけなんだよ。

クソみたいな経験が、お前を変えたんじゃねえ。

ふざけろ、へちま野郎。

お前がナメた覚悟で不相応な喧嘩を始めたから、

今の傷があるんだよ。

お前の所為なんだよ。

誰の所為でもねえんだよ。

ふざけたガキだよ。手前は。

覚悟もねえのに喧嘩なんかするんじゃねえよ。

ポンツクが。





だがね、そのお蔭で今の俺がいるんだよ。

俺は、世界を呪ったことがある。憎んだことがある。

汚物と刺し違えようとしていた時期がある。

あの時代が、俺に強さをくれたんだ。




強い?お前が?

ふざけろよ、へタレ野郎。

なにもできやしねえ奴が、口だけはよく廻りやがる。

筆がありゃあ、世界をひっくり返せるとでも思ってるのかよ?

書けば真実になるなんて思うなよ?

おめえの強さって奴はトコトンいびつなんだよ。

ストレス耐性?

はっ。

強がってるだけさ。

普段は阿呆みたく頑丈だがね、それは手前が亀みたいに丸くなってる時だけさ。

丸裸の時の弱さを知ってるだろう。

飯も食えなくなっちまう。

無理やり喰っても戻しちまう。

一週間で5キロも6キロも体重の落ちるモヤシ野郎のどこがいったい強いんだよ。

気の触れた気力で身体は動くかもしれないが、最初のうちだけさ。そんなのは。

丸裸の時期が二ヶ月も続けば、お前はコロリとイッちまう。

気力で全部を誤魔化せるなんて大間違いだぜ。

お前がな、困苦をさして嫌と思わないのは、それに慣れてるだけだ。

慣れ親しんだ場所だから、嫌だと思わない気持ちが恐怖に勝ってるだけなのさ。

勇気があるわけじゃねえ。

お前は古巣に戻りたがってる可愛そうな子供だぜ。

幸せを絵に描いたような家に生まれたくせに、

たかだか高校の屁みてえな3年で愚にもつかねえふざけた情念に絡めとられちまう。

そこが故郷とカンチガイ。

てんでヨワッチイ魂さ。

お前なんか信用したら、とんでもねえ目にあうぜ。

くたばりやがれペテン野郎。


























































































たまにコイツと話す。

ずうっと心の裏側で、生き血をすすってる寄生虫と話す。

話すってゆーのは正確じゃあない。

厳密には奴にスポットを渡す。

で、書かせる。

あとで読む。

むかつく。

嫌な野郎だと思う。

だがね、こんな否定的にしかものを語れない灰汁のない馬鹿野郎でも、

結構な効用って奴がある。

この馬鹿がぬかしてる寝言が真実かどうかは、

今の俺にとっちゃどっちだろうが大差がない。

眼中にない。

過去がなんだろうが俺は世界との喧嘩を勝つために抗い続けるだけだ。

影が何をぬかそうが知ったこっちゃねえ。

せいぜい吼えてろ。

手前じゃ何もしようとしねえ薄っぺらな日陰野郎。

隠花植物に何を言われよーが効きやしねえよ。

血を吐いたのは俺で、断じてお前じゃねえ。

勝手に喚きやがれ。

手前がくだらねえ世迷いごとをのたまう度に、俺はどんどん熱くなるんだぜ。

直に手前も必ず焼き尽くしてやるからな。

手前のつまらねえヤジなんぞ、今の俺にはまるで効きやしねえんだ。

ざまあみさらせ。

業病病みが。

死に晒せボケが。






俺はね、確かに困苦をあんまし苦痛に感じない。

「 キッツイ是 」ってしんどい思いを繰り返しても、

怖れを知らず何度も火中の栗拾いにいそしむ阿呆だ。

火傷を繰り返して今日がある。

その度にタフになってきたのが自分だ。

今は普通なら死にかねないとんでもない火傷だって1週間で捻じ伏せれる。

脳神経が死んでいく音を聞いたって、2週間で全快できる。

伊達や酔狂で火事場で踊ってたワケじゃねえ。

全部は世界と殴りあうためのだ。

俺が幸せにぶるっちまうだと?

アタリ。

俺は確かに幸せがこええ。

絶頂から転げ落ちる時の圧倒的な不安感を知ってるからだ。

幸福を失ったときの禁断症状の苦しさをしってるからだ。

だから何だ?

俺が退くとでも?

馬鹿をぬかせ。ヒョットコ野郎。

俺はブレーキなんざ、とっくの昔に捥いでるんだよ。

誰がかけるかブレーキなんざ。

寝言は寝て言え脳軟化チンパンが。



いいか、よく効け寄生虫野郎。

この際だからハッキリさせといてやる。

俺に後退はない。

絶対にだ。

立ち止まりもしない。

禁断症状だろうがなんだろうが喰らってやる。

そんなもんで俺の漸進を阻めると思ったら大間違いだぜ。

俺はね、11年前、極大のビビリだった。

腰抜けだった。

だがね、そのおかげで戦いきったあとにゃあ、恐怖の克服なんざ朝飯前になってるんだよ。

怖いだあ?

だから何だってんだ。

怖いなんてのは、腰の入った蹴りの一発でぶっ飛ばせるハリボテの壁だ。

そんなもん屁でもねえ。

恐怖何ざ、15の時に何度も何度も捻じ伏せてんだよ。

何度でもきやがれ。

どんなデケエ恐怖だって捻じ伏せてやるぜ。

畏れはあっても恐れはねえ。

怖い痛いはガキの言い訳なんだよ。

そんなもんで怯んでたまるか。この俺が。

俺は幸せになるんだよ。

恐怖を捻じ伏せて。

幸せが似合わない人間なんていねえって歌った人間が、

びびって立ち止まる理屈なんてねえんだよ。

俺には幸がついてんだ。












振り返るたび、クソみたいな記憶が、足にまとわりついてくる。

振り返るのをやめるなんて選択肢はない。

過去は厳然としてある。

足に絡みつくヘドロを叩き落すには、

連中の正体を仕留めなきゃならない。

白黒ハッキリつけてやらなきゃいけない。

てめえらなんぞにゃ断じて屈しねえって決意を、

大声で叫ばないと始められない勝負がある。

ヘドロとの戦いってのはちょっと勝手が違うのだ。





俺は世界と喧嘩する。

ヘドロッチョをイワしながら、世界と戦う。

足がもげても東へ進む。

人間が東へ進めることをなにがなんでも証明しなくちゃならない。

そうじゃなけりゃあ、どんな歌も嘘になっちまう。

戦いに負けちまう。

立ち止まることなんて許されねえ。

幸はずっと先にいる。

追いつかないことには、なに始まったりしねえ。








歩くんだぜ、右足。

前に進むんだぜ、左足。















足ってなあ、そのためについてんだぜ。

震えるためでも、ヒザをつくためじゃないんだぜ。








俺たちの脚は、前に進むために生えてるんだぜ。
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by 201V1 | 2004-07-27 23:23 | カテゴライズ前・生ログ
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