カテゴリ:■棘ッ ( 1 )
たまにはメメシク
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 普段、大上段から大言壮語の妄言を乱舞している201V1であるが、あんまし立派なことばかり書くのも卑怯なので、たまにはメメシイ内容でゴー。

  テーマはずばり、「棘」である。

 小生は昔、巨大なサボテンにセントーン(背中から落ちるプロレスの大技)をかまし、全身ハリネズミのごとき有様になり果て、死ぬ思いで医者にかかった事があるが、今回はそんな大袈裟な話ではなく、もっとこう、魚の骨のように小さな、「微妙な痛さ」についてである。

 文体は、古今例を見ないことに「口語体」の構成比率がかなり多く、「読みやすさに」においては他の追随を許さない形態がとられているが、のハズだったんだが、書いてみると全然そうでもなくなってしまい、初志不貫徹。星一徹のちゃぶ台返し。さかしらに北一輝の蛮勇である。(やけくそ)

 まぁ、そーゆーわけで、以上のような諸々の背景を踏まえたうえで、相も変らぬ読みにくさ。抜き読み禁止の玩読よろしく候。である。



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 小生には、感性の鋭い、印象の言語化に傑出した能力を持つ女性と付き合うと、必ず指摘される「ある雰囲気」がある。

 彼女達は、それを「遊び疲れた30過ぎの男のオーラ」とか、「宴のあとのけだるさ」と表現する。なかには、「バブルの後のテーマパーク」なんていう容赦のない形容もあって、恋人にポンコツの烙印を押す痴れ者まで出る始末である。

 彼女達の見解を総括すると、それは「廃墟の佇まい」であり、「雪だるま式虚無感」のイメージといえるだろう。

 最も、彼女達はそんな「陰の側面」だけに惹かれて小生とお付き合いしてくれてるワケではなく、「陽の側面」である「失念暴れ馬」としての、底抜けの明るさと無駄な馬力と気まぐれな優しさににイカレているものと推察される。

 一見すると、不夜城のごとき「和魂要塞」が、真実を見抜く彼女達の目には、「廃墟の町のサーカス」として映るのである。

 
 「おっ。ここ廃墟じゃん」


 男達が容易に気がつかぬこの真実に、彼女達が比較的簡単に到達する理由には、女性達が男性に比べ言語よりイメージに特化した発達を遂げている点が上げられるが、最大の原因は小生の「心持ち」にある。

 文字通り、思春期を「生き死にの際」で過ごした小生にとって(「死線編」に詳しい)
、「女性が隣にいる状況」とは、すなわち「安全な状況」である。したがって、彼女達が隣にいる間だけは、普段年中無休で営業している不夜城の灯が消え、要塞の戦時体制が解かれるのである。そしてその時、そこに「廃墟」としての顔が現れる。そしてそれは茫漠たる年月を経てそこに存在するのだ。

 

 人はこの世にオギャアと産まれた瞬間には、一軒の家と仮定するなら漠然とした骨組みだけしかもっていない。大雑把なデザインは幼年期を通じて行われ、内外の装いは少年の時分に決定される。そして青年期に入って本格的に家具やなんやらが搬入され、「人の暮らしうる体裁」が整うのである。この過程で、殆ど全ての家屋が例外なく、手抜き工事や火事や地震にあい、欠陥住宅と化したり全焼したり倒壊の憂き目に合うわけだが、その多くは困難を乗り越えてそれぞれの「城」へと成長していく。城が廃墟と化すのは、アクシデントによってではない。時が城を廃墟へと変えるのだ。

 時とは四季である。人は精神世界の春夏秋冬の中で旅を続ける。そこに決して終わることのない季節はない。人は血を吐きながら冬を越え、春の中で新たな誕生を経験し、夏の日差しの下自らの生を確認し、秋に冬の訪れを予感する。それは、現実世界とは時の流れ方の違う世界で、到達することのない地平を目指す探求の旅である。

 15歳で、「わしは、どこから来て、どこに行くのじゃろう?」と疑問を抱いてから、時に比喩抜きに嘔吐を繰り返しながら休むことなく旅を続けてきた小生は、ぶっちゃけ、この件に関しては既にベテランを通り越し、「彷徨えるオランダ人」と化している。(※彷徨えるオランダ人・神の怒りをうけ永遠に七つの海を航海する奇特な船長)地獄めぐりの過程で、良心が凍てつく氷結地獄から、怨嗟の渦巻く修羅地獄、飢えと欲望渦巻く餓鬼地獄、誹謗中傷の嵐が吹きすさぶ針地獄、行き先不明の無間地獄、輸血できない血の池地獄と飽きることなく六道輪廻を繰り返してきた影響をうけ、風雪に耐えてきた要塞は、建造からわずか四半世紀とは考えられないほど痛んでしまった。人が住んでいようが、外からみれば廃墟以外の何物にも見えないだろう。


 そーゆーわけで、彼女達は小生の中に「廃墟」を見る。総合すると、それは小生が景色に心を奪われている時に、タバコの煙の向こうに見えることが多いらしい。確かに小生は、合法的に「ため息」をするためにタバコを燻らせている観が多分ある。紫煙が立ち上る時、霧が晴れるのも道理であろう。

「世界はこんなに美しいのに」

安らぎの中でそう感じつつ、それでも自分が虚無と無常観と共にいると再確認するとき、心のコントラストは際立ち、廃墟が姿をあらわす。本人的には別にどおってことのない、いつもの情景だ。

けれどもそんなとき、彼女達は

「この人どこかにいっちゃいそう」

と不安を感じるらしい。

 で、いい加減それに慣れると、今度は「気の使う必要のない廃墟の居心地のよさ」に増長し、増長天金剛撃。廃墟には小生という暴れ馬が生息していることを忘れ、飼い葉桶をひっくり返したり、放牧を忘れたりして無茶苦茶な振る舞いに及び、ロディオ状態に突入、2人の生活が破綻する。爆






 例によってえらい長い前置きだが、このままでは主題が「廃墟」で完結してしまうため、そろそろ主題である「棘」に入る。


 廃墟に住む小生のプライベートの基本的なカラーは、「不機嫌」といえる。これは「ヒステリー」とは全く毛色の違う状態であり、いうなれば「話しかけてみると至って上機嫌か忘我してるかのどっちかだが、見てくれは眉間が厳しく口は苦虫。理由なき怒りに燃えた目」という、空飛ぶ出刃包丁的ムードがかもし出されている。(このため、高校3年の頃は下級生が廊下で擦れ違いうと反射的に会釈などしやがり、頼むからやめてと懇願(脅すともいう)したことがある。)

 で、滅多にいないんだが、これと同じ雰囲気をした女の子が高校の時にいた。(この話をするための、これまでの与太。こんな構成、許されん)

 


 「その娘が好きだったの?」

 



 「やかましい。ぼけ。全殺すぞ。」




 とゆーわけで、当時の口調で反撃を試みる小生、ぶっちゃけ好きでした。もっとも高校時代はなんだかんだ言って丸々まるごと修羅場であり、入学早々女に「四つになれ」と言われた事も手伝って、あまり女どころではなかった。そのため独特の雰囲気の彼女と、微妙な関係に至るには、出会ってから実に7年の時を待つことになる。

 いろいろあって、小生と彼女は、微妙極まる混沌とした関係に至ったが、諸々の事情が複雑怪奇であったため、筆舌に尽くしがたい数奇な運命を経て、盲目のキューピットが全力射撃で的ハズレ。正式なカップルになることは遂になかった。



 彼女のどこか僕を不安にさせる雰囲気が好きだった。こっちが好きになった理由はそれである。

 1年か2年に1度、彼女に会う。

 1年に1度か2度、夢の中で彼女に会う。

 そのたびに、なにかとても大切なものを失った苦しみにさいなまれる。現実以上に手痛い失恋を、そのたびに疑似体験するメメシイ自分がいる。大きな「棘」。現行の彼女がいようといまいと関係なく、それは無機質に心に爪を立てる。


 多分、トコトン試すことなく終わった物語だからだろう。特殊な恋愛だった。小生はこれまで、いつも命駆けで恋に落ち、全身全霊で愛し、全てを投げ捨てて精魂を使い果たしてきた。だから他の物語を思い出して心がかき乱されることはない。この複雑怪奇な魂魄で許される限界点を超え、さらにその先で力尽き、行き倒れして完結した物語に続編はない。いうなれば、小生にとって、あの恋愛は「未完」の物語である。「中断」でも「休載」でもない。それは急逝した作家の最後の長編と同じように、世界から空が消え、大地が海に飲み込まれるその日まで、惜しむ声の止むことのない未完の物語。それがあの恋愛である。


 今日この日からの明日を思う時、「未完」の物語は、これからもずっと心の書架に有り続けると思う。そして、それでこそ「棘」であると考える。

 すべての物語に「完結」を求めた時、心の書架は新たな可能性を失うだろう。今日、昨日のことを思う時、記憶にある物語の全てが完結されているとしたら、その人の昨日のなんと無機質なことか。その人の明日は、後ろ髪ひかれる昨日のない物語しか紡げない。そこにあるのは連続性を失った、過去のない人生である。

 「棘を飲み込め」

 未完の物語を受け入れることで、人は自己の連続性を獲得し、昨日と明日が真実の意味でつながる。情景の蘇る過去をもたない人間は、自分の人生を振り返ることができない。それは過去から孤立した人間だ。

 「恋」「夢」「意地」、「未完」のまま終わらざるをえなかった物語をもつなら、その「喉の棘」は、取り去る為にあるのではない。ただ飲み込むためにそこにあるのだ。

 それを飲み込み、付き合い続けることを選んだ時、魂に始めて過去が宿る。痛みを呼ぶ「棘」は、いつかカラダに溶け込み、その人の血肉になる。


 どっちにしろ人生は、なにをしようがイバラの道だ。腹のなかに一本くらい棘があろうがカラダは特別な悲鳴をあげない。

 魂に過去を宿らせる「棘」。わざわざ引き抜く馬鹿はいない。飲み込まない手はない。

 「引き抜くな。飲み込め。」

 棘はぜったい引き抜けない。引き抜けないなら、こんなもんは飲み込んで、悶絶しながら血肉にするしかないのである。






 そーゆーワケでメメシクも、小生は、彼女が夢に出てくるたびに、幾度となく恋に落ち、目覚めては失恋している。


 昨夜、彼女が夢の中、小生と同じバスに乗り、振り向くとはにかんでいた。心臓がワシ掴みにされる。夢の中でも。この表情に弱かった。


 ・・・・・・いつこの棘が血肉となるのか、小生自身も皆目全然不明だが、その日まで、いろいろあろうが生きていく。
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by 201V1 | 2004-05-12 18:39 | ■棘ッ