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不覚
http://www.youtube.com/watch?v=lL4gBKOQLck


久々に仰け反った是。

ちなみに、うちの参號機の子守唄はこれだったりする。(ありえん
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by 201V1 | 2006-09-12 00:16 | カテゴライズ前・生ログ
名も知らぬ人の言葉に

 


 入籍して間もない頃、

 山ノ神の気分が、

 数日間に渡って優れないので、

 これはと鑑み、

 走った薬局。






 買ってきた検査薬にて、

 懐妊が判明したあの夜。






































 あの夜から7日間をかけ、

 小生は、

 お父さんになった。











































 余人が聞けば、

 少々違和感を感じるかもしれない、

 「 7日間をかけ 」というこの注釈は、

 実際のところ、

 天地創造に絡めた語呂や、

 子洒落た比喩でもなんでもなく

 現実に、

 小生が、

 父になるのに、

 実に7日間を要したという、

 真っ直ぐな意味である。



















 
 手前で言うのも今更なんだが、

 小生は、

 生れ落ちてこのかた、

 「 人間、酔狂で死ねる 」みたいな、

 あってはならぬ世界で長らく生きてきたわけで、

 当然こーゆー世界の住人は、

 十人が十人、

 手前の親に迷惑をかける日常が茶飯事である一方、

 手前が人の親として機能する気配は微塵もねえ始末であるのが常態で、

 小生もまた、

 この手合いの例に漏れず、

 子の親となるには足りないところが余りある人だったんである。

 

 

 

 

 
 有時ならばいざしらず、

 平時において、

 さらに言うなら現代日本において、

 酔狂で死ねる種類の人間は、

 子を養う父としては、

 まったくもって機能しない。








 精々が、

 子が育つ過程で、

 遺影として仰ぎ見る、

 かつての英雄が関の山である。






 いずれにしても、

 戦没者用遺族年金なんぞは、

 酔狂の挙句くたばった連中になんざ支給されず、
 
 草葉の影からでは女房子供を養えぬ。

 






































 さらに言うならば、

 英霊たちには全くもってすまないが、

 ぶっちゃけちまえば、

 子供にとっての英雄は、

 必ずしも、

 その子の父である必要は、

 全くないんである。










 

 











































 子にとっての英雄には、

 数多の物語の中にその代役がいるが、

 現実の庇護者はそうはいないのだ。

 



 
 
 




























 つまるところは、

 小生の考える、

 最小公約数としての父親像は、

 機能の点から述べるなら、

 一家を飢えから護る雄であり、

 家族の笑顔を奪わぬ男であるという、

 上記弐点にあったのだった。









 それ以外の諸々は、

 煎じればざっと一切合財、

 まったく不要のもんに違いなかった。






























 酔狂は、

 その不要のうち、

 最たるものの最大と断言できる種類の薬味であり、

 間もなく父となる小生にとって、

 この期に及んでの要不要の選別は、

 父としての機能のすべてを決定する事必定の、

 文字通り未来をかけた作業だった。






























 














 小生は、

 生涯幾度か経験してきた、

 「 男子三日会わずば別人の儀 」を、

 またやることにした。















 父になるためにである。



























 あの夜から7日間、

 起きているのか、

 醒めているのか、

 眠っているのか、

 飛んでいるのか、

 定からぬ感じで、

 小生は、

 父になるため、

 脳味噌の具合を造りなおした。

 







 


 脳の泡立つ、

 この儀の度に頭の奥で響く、

 頭の煮えるような音を聞きながら。












 父になるその支度を、

 小生はした。

 










 


































 







 その上で、

 煙草を止め、

 免許を取り、

 稼業を見つけ、

 住まいを緑と海の近くに求めたのだった。
























 思い返しても、

 我ながら、

 真剣だったと振り返る。










 全力で、

 父たらんと、

 力を絞っていた。























































 なんというか、

 嫁に来てくれた人と、

 生まれてくるチビに、

 辛い想いとは無縁の砦をつくりたかったんである。



















 





















 武張っていたんである。

















































































 山ノ神がチビを生み、

 5日が過ぎ、

 2人が家に帰ってきたあと、

 小生は自転車で、

 ムーニーちゃんとかチチパッドとかを薬局に買いに行ったんだが、

 ハックドラックにはチチパッドが売っておらず、

 しょうがないので梯子して西友まで行く羽目に至った。







 西友のレジにて、

 名も知らぬその人の言葉が、

 これほど心に残るとは、

 ハックを出たときには夢にも思っていなかった。


































 西友の会計係のおばはんは、

 小生の、

 ムーニーちゃんで寿司詰めになったハックのレジ袋と、

 買い物籠の中のチチパッドの山を見て、

 やさしげに微笑んだ。





 そして静かに言ったのだった。

















































 「     子育てを、楽しんでね       」







 

 






















 肩に、

 背中に、

 全身に、

 ずっと入っていた力が、

 抜けていくのが分かった。
























 「    子育てを、楽しんでね。    」
























 どんな思いやりの言葉にも勝る、

 真実の祝福。
























 心を溶かす言の葉。








































 


 父になり、

 世界が輝きを増したことに気がついた。











 


 









 世界は、

 再び未知に溢れている。






































 これが、父の心の動きか。
 
 
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by 201V1 | 2006-09-04 00:39 | カテゴライズ前・生ログ