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~間合い~ 出会いを求める君へ。

間合いを詰めて、人はもう一段深いトコで出会う。







この意味で、知り合って20年、同じ席で酒を飲むようになって10年経って、

もう一度その人と「 出会う 」って体験を、結構な人間がやっている。





この一段深いところで繋がる出会いを、邂逅ってナマエで先人達は呼んだ。

出会いってなあ、ホントはコイツのことを言う。

コンビニのコンニチワ・イラッシャイマセのことを指すんじゃねえ。

馴れ合いの酒を指すんじゃねえ。




出会いってなあ、

剥き身の出刃をひっさげて、

一撃必倒の間合いまで踏み込んで

初めて巡ってくる彗星だ。

自分で掴む星である。




この出刃は相手の喉下に突きつける為のもんじゃない。




相手の拳に握らせて、

こっちの喉笛に刃をあてがわせるための出刃だ。

そうやって捨て身で真剣の勝負を相手に求めれば、

語り合うに足る人間の多くは、

その間合いから逃げたりしない。




出会いってなあ、

そうやって捨て身で造るに足るもんだ。

待ってるだけじゃ、容易に出会いはやってこない。

奇跡はおこることが奇跡だから奇跡と呼ばれる。

奇跡を座して待つ奴をして、へなちょこと言う。





「つまんねえ人間ばっかだぜ」

「人間なんざ語るに堕ちるぜ」





そー思ってる奴はアマちゃんだ。

ひょーろく玉だ。

しけた酔いどれ線香花火だ。




周りの人間がつまんなく見えるのは、

君が「 踏み込まない 」からなんだぜ。

君が出刃を相手に渡さないから、真剣の勝負が始まらないのだよ。

びびっちゃダメよ、闘士なら。






「 さあこい。さあ刺せ。さあ殺せ。 」






しない剣道じゃ、相手の命を奪えない。手前の命も晒せない。

魂の見えない一千の戦いなんかより、

たった一度の真剣の切り合いがどれほど多くのことを教えてくれるか。

だから人は真剣の勝負を挑む。

「 いかが?」ってね。

白光りする出刃ぶらさげて、「 いかが?」ってね。





果たし状を送る。

果たし状を受ける。

間合いの内側で人と出会う。







ノーガードってなあ、このことを言う。





出会いがなきゃあ、

この星から人間があふれ出しても人は1人だ。




「 人物 」ってのはゴマンといる。

出刃を突きつけあうに足る達者は、まわりにゴロゴロしてるんだぜ?

挨拶してる人々のなかには、出会っていないその人がいる。





出刃を抜いてみな。

最初はね、下手な誘いでポカンとふられることが多いかもしれん。

でかい恥をかいて、でかい恥をかかせて、

果し合いまで持ってく器量が、ちょぴりづつだが備わっていく。

そうやって出会あう機会を作る器量を育てるんだ。




「 いかが! 」




斬り合いに持っていくんだ。

出会いたいなら出刃を抜いて相手に渡せ。

じゃなきゃ生きてる意味の半分はねえ。





「 いざ尋常に!」

「 すわこそ!」





出会いってなあ、こうじゃなくちゃよ。

いくぜベイビー?

刃ぁ抜きな。

白刃煌く命の舞踏。

同じ馬鹿なら踊らにゃ損だぜ。
















侠の邂逅ってなあ、このことよ。
# by 201V1 | 2004-07-27 12:42 | カテゴライズ前・生ログ


鰐口家のモットーは「 火が出るまで使え。 」である。



今日、13年使っていたトースターが遂に死んだ。

かれこれ6年ほど前から、

既にトースターなのか炭なのかイマイチ判別の困難な物体に変貌していたが、

それでも機能面では十分に「 焼く。中に入ってるものを。」という同一性を保持していた為、

「 電源が入っている限り燃やし続ける 」という見境なさを発揮する本日まで、

長きに渡って第一線で活躍するコトを許されていた。






今朝方「 俺は燃え尽きたいんだぜ 」という思慮のない蛮勇を奮い、

小生の「 たらこトースト 」を最後の任務に勇退することになった鰐口トースター。

君は最後の最後まで、鰐口家の備品らしく勇猛果敢にがんばった。

ありがとう。

おやすみなさい。





思えば6年前から倉庫で静かな眠りについている「 洗濯機 」の最後も勇壮であった。

20年間、鰐口家の衣料の尽くを洗浄した来た二層式洗濯機。

彼は何度もくじけそうになりながら、老いた身体に鞭打って力強い回転を続け、

最終話では、「 底部の回転盤を空に向けて飛ばす 」という離れ業をやってのけ、

天井に穴を開けてくれた。

小生はその時、彼の「 わが生涯に一片の悔いなし!」という魂の叫びを聞いた。

前のめりで死んだ稀有な洗濯機である。




限界まで働き続ける器物達。

稀に出会える彼等のような「 本物 」を想うたび、

ヤオヨロズの神々の存在を感じる。




物には稀にだが、モノホンの魂が宿る。

滅多にないことだけれど、

たまにそーゆー根性の座った器物がある。




小生は、頑健な器物が好きだ。

壊れないぜっていう、彼等の加減を知らない意気を気持ちよく思う。




八百万の精神に今日、ささやかな賛辞の言葉を贈ろう。














ものども。見事。
# by 201V1 | 2004-07-27 10:00 | カテゴライズ前・生ログ
命を奪う



ハチの巣をぶち落とす。

棒ッキレの一撃で、ひとつの王国を破滅に追いやる。

巣をほぐして、幼虫や羽化を待つサナギを中から引きずり出し、

フライパンの中に放り込み火にかける。




岩の間で息を潜める魚を仕留める。

足ヒレとゴーグルをつけ、モリを手に海に潜る。

狙いを定めて腕に絡めたゴムを離し、

チカラを蓄えたモリが、水の中を魚に向かって飛んでいく。

三叉の金属に胴を貫かれた魚が、一度だけ痙攣して驚きに満ちた変な目をして死んでいく。




カニとりの仕掛けにかかった運の悪いアナゴ。

70センチもある身体をくねらせて生きようと足掻く。

頭を引っつかんでビニール袋に叩きいれ、まな板の待つ台所へ。

ウナギと同じ要領でアイスピックを脳髄に叩き込み、3枚に卸す。

さっきまで暴れていた生き物が、白い切り身に姿を変える。




アフリカにいた頃、雨の夜はご馳走の日だった。

街頭明かりに、羽をもった白蟻が群がる。

次代の王国を築くために母国を旅立った若者達だ。

キクユ族の友達と一緒に、タモで連中を捕まえる。

長靴一杯に捕まえた白蟻を、ナマのままほうばる。

かすかな甘みと深いコクに酔いながら、ぬるいビールを飲む。



赤い土の上を、

雄山羊と一緒に屠場に歩く。

抵抗する山羊の角を強引に傾け、彼の首を極める。

そうやって、暴れる山羊を屠場へと引きずっていく。

前足を持って、最後に残った後ろ足を刈る。

すっ転ぶ山羊。

すかさずヒザを彼の首に押し付けて自由を奪う。

彼が2度と立ち上がることのないように。

顎に左手を沿え、上にカチ上げて喉に刃を当てる。

一気に引く。

引っ張った輪ゴムを断つように、彼の喉がバクン割れて、血が噴出す。

ばたばたと痙攣する山羊を見守りながら、

彼を解体する為の、吊るすのに丁度いい木を探す。





実家の山で、

実家の海で、

遠い大陸で、

殺して食べた。

突いた魚は数限りなく、

殺した山羊は二桁を越える。






生き物を殺した日は、少し普段とはちがう疲労がくる。

彼らから明日を奪った次の日は、身体が奇妙に重くなる。

近くの山で数百本の杉の木が伐採された日、

その事実を知らぬまま、

僕は身体が重くて起き上がれなくなっていた。





食べる為に命を奪うと、よくわかる。

奪われたものたちの怨嗟と悲哀が、ちゃんと生者に訴えられる事実を。

奪うことで初めて分かる命の凄味がある。




屍を喰らって今日の身体がある。

人は、屍を血肉にして生きている。

都会人だろうがベジタリアンだろうが、喰らう以上は、屍の上に生きている。




幾千万の命を糧に今日を生き、

明日へと歩みを進める我々の命に、

約束された場所なんてあるわけがない。




ただね、

幾千万の命を喰らって掴みとった魂にゃ、

約束の場所なんてあろうがなかろうが、

明日を目指して突き進む力が満ちている。




ハチさん、やぎさん、さかなさん、

うしさん、ぶたさん、いのししさん。

しかさん、たぬきさん、キャベツさん、

むしさん、ナスさん、マムシさん。



ありがとう。




ありがとう。





おいしかったよ。





ごめんね。





ありがとう。




これからもごめんなさい。





ありがとう。
# by 201V1 | 2004-07-26 18:18 | カテゴライズ前・生ログ
出会いが人を変えていく。




なにがキッカケになるかは定まっちゃいない。

一冊の本との出会いが

一枚のCDとの出会いが

一行の文章との出会いが

人との出会いが

僕らを変える。




厳密にはね、「 変わる 」んじゃあない。

「 掘り起こされる 」んだ。




同じものを見て、同じものを聴き、同じものから感じ、

それでも人がそれから受け取るものが違うのは、

「 掘り起こされるもの 」が違うからだ。




ハナから心に何ももってない心は、

全てを掘り起こすとんでもないチカラに照らされても、

何かが光り始めたりはしない。

それが光り始めるのは、貴方がそれを持っているから。




僕たちが、変わるのは、誰かによってなんかじゃない。

自分の中の埋もれた気持ちが再び輝くことで

変わるのだ。






出会いが人を変え。

掘り起こされた心が、出会いを変える。






変えられた出会いが

また人を変えていく。

掘り起こしていく。






掘り起こされてはまた土を被せられ、

暗闇の中でまた光り始める心たち。




埋められた魂たち。




























借り物の心なんか、この世界にはありはしない。

それは掘り起こされた魂だ。









繋がっているんだぜ。








心が響きあう限り。
# by 201V1 | 2004-07-26 17:15 | カテゴライズ前・生ログ
滅びる為の役目


必要とされなくなることを願う。

誰もがなにも失くしていない世界を望む。

誰もが渇きを知らない世界を望む。

誰もが悲しみも怒りからも開放された世界を望む。

そんな世界になればと思う。

誰もが幸せ生きることができればと思う。





でもそこは、だれも小生を必要としない世界である。





奈落の底でしか、小生は命の真価を発揮できない。





悲しみと嘆きの中でしか、小生の声は音にならない。





本当は誰もが必要しなくなることことを望んでいる歌が、小生の歌だ。





いなくなることを、万人が望んでいる。




滅びさることを誰もが望む。




自分が誰からも必要とされない世界が、小生の望んでいる世界の真実だ。





恐ろしくないなんて嘘はいわない。





おっかないよ。





また自分を見失うのは、とんでもなく怖い。





でもね、ほっとけないんだ。





ほっとけないの。





だからやめません。





小生が望む世界は、小生にとって生き場のない世界かもしれない。それは死の世界だ。





それでも墓穴を掘ろうと思う。




2度と自分の歌が必要とされなくなるいつかを目指して。





強さなんていらない明日がくればいいのにね。





だれも奥歯を削る必要なんてない世界がくればいい。

































生きるってことは、死ぬことだ。




自分が必要とされなくなる世界の日の出のために、人は自分の役目を果たそうとする。




先人たちの勇気に今日、改めて畏敬の念を禁じえない。




あんたらはスゴイね。




全部を承知しながら尚、それでも世界に挑み続けた。















「 武士道とは死ぬことと見つけたり 」














この言葉の真の意味に、今日、初めて気がつきました。




生き死にってなあ、本当はこのことを言うんですね。












小生も滅びる為に戦います。

あなた方がそうであったように。

自分が必要とされなくなる世界の為に戦う。

なけなしの勇気を振り絞って。









生涯を賭けて。
# by 201V1 | 2004-07-25 14:35 | カテゴライズ前・生ログ