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鏡の国の和魂要塞
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 友の呼称には、様々な呼び名がある。幼馴染が、親友が、僚友が、戦友が、朋友が、盟友が。

 数多の呼び名とカテゴリの中で、自分の最も親しい者たちに送る名称を、あえて選ぶとするならば、自分は「知己」という言葉を選ぶ。

 それは、「私を知っている人々」という意味の言葉だ。場合によっては、本人も見知らぬ「201V1」を頭の中に飼っている不届きな野郎もいるが、彼らのなかには、それぞれにとっての201V1がおり、めいめいが毛色の違う「和魂要塞」に陣取って、いろんな面構えをしてふんぞり返っている。

 その態度には、飼っているご当人である宿主の個性が大きく反映されており、それぞれまったく面差しが違う。友人達の瞳の向こう側にいる自分は、時に脚色され、時に記号化され、道化から無法者まで様々な姿で、オリジナルの苦悩をよそにのうのうと日々を暮らしている。

 着ている服と暮らしぶりは、しばしばオリジナルとはかけ離れ、妙に理想化されたり、ある側面が特化しているものもいる。様々な見知らぬ自分のなかに、時折スッパダカにされている奴を発見すると、生き別れの兄弟にあったような気分になる。

 自分より先に、寝癖のついた後頭部を指摘された時。彼女に、「お尻にホクロがあるわよ」と告げられた朝。剃り残しの髭をひっぱられた昨日。ガンを宣告された夜。

 自分ではかなわなかった再発見を肩代わりしてくれる知己たちに、今日の感謝を送る。

 
 以下に、瞳の向こうの和魂要塞をほんのちとっぴりご案内。覗き見ご免。

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《ウナギAと、和魂要塞ウナギ支部跡地。名物・酔いどれ暴れ馬》

 ウナギAとは20年以上の付き合いになる。和魂要塞建造前の201V1原風景を知っている数少ない不届き者の1人。よーするに幼稚園からこっち一緒のわけで、当時から脳の膿んでいた201V1は、彼の抜けた乳歯をトンカチで割って食べたりしていた。正に愛のカルバニズム。義兄弟の誓いである。(ウナギAはそのとき感動したらしい。コイツも果たしてどうかと思う) 

 とゆーわけで、「まぁ、こいつに今更何を隠しだてても始まらぬ」為、普段脅迫的に「人に弱みを見せない」小生にとっての、只1人の例外がウナギAとなっている。したがって、自然、彼の分析する201V1像はほとんど丸腰の状態にあり、気の違った家出アダムみたいな扱いを強いられている。

 まず始めに、ウナギAの中の201V1は「和魂要塞」に暮らしておらず、野に住んでいるというか、放たれているというか、未だ洟垂れのままでいる。単純にいうと、原風景のなかで年柄年中失念中の暴れ馬が小生であり、ウナギ半島には「和魂要塞」などという建物はなく、先史時代さながらの世界が広がっており、近代の体をまったくなしていないのである。

 つまるところ彼の中の小生は、完全に理論武装を解除された原始マサイ状態にあり、ハリボテの「和魂要塞」を取り上げられた状況にあるワケで、浪人というか、ほとんど無宿者を通り越して前後不覚の裸族に近い辱めを受けている次第だが、その上どうやら正気ですらないらしい。

 「酔っている」

 というのが、ウナギAの談である。なるほど確かに小生は、我ながらシラフかどうか怪しい人生を謳歌してはいるが、気は確かである。(ほんまかいな、おっさん)

 「自分に酔っている」

 というのがウナギAのトドメの金言であり、この馬鹿は言ってはならん不加触地帯に土足で乗り込んできやがった。夜討ち朝駆け行かず後家。カチカチ山のまいっちんぐ。

 なるほど小生は自己愛が変質的で、六畳一間に巨大な姿見が3枚もあるという異常な環境で暮らしてはいるが、証明写真の加工(違法行為じゃん)は湾曲した鼻梁の修正ぐらいで我慢してるし、今はもうめんどくさくて爪を磨くのもやめたし、なんだかよく分からないうちに電気ガス水道カードなどが全部止められ、その上給料日の3日後に残金が5円しかなく、実家から送られたお米券を売っぱらってその足で酒場で呑んじゃって道義的にいろいろ大変なんだ。どうしてくれるんだ。(生まれ変われ)

 ふっ。歯も磨かずに寝てしまう日なんかざらである。(ぜんぜん関係ねえ)

 自己愛はもぉこの際、どぉでもいいとして、自己陶酔の程度という問題で自身を鑑みると、確かに極めて深刻な境界線上に生まれてこの方ずぅっといる点は神仏に誓える。

 なんか、目覚めながら寝言をほざいたり、誇大妄想のなかで自動書記を続けたり、出任せの妄言で適当な講釈をたれていると、頭がカラッポになって忘我。額が涼しくなって自失。延髄がスカーッとして紅天狗ダケ万歳。気分は脳内万国旗ドンジャラ。もーはいこー気持ちいいんさー。(西伊豆山中弁*最早いいから早く気持ちいいのです。の意。直訳すると日本語的に破綻)

 両親と祖父母と叔父夫婦、計6人の大人に猫っ可愛がりされて育てられ、パーソナリティの雛形が完成する5歳までの間、浮世のあらゆる苦しみから完全に守られ無菌培養された小生は、このときに「生涯白昼夢」という業をインプリンティングされ、今日に至っている。つまり常駐坐臥「夢見がち」なんであって、終始全力で夢酔い、酩酊状態の世界におり、プチ廃人に近い。

 廃人なので、世情に関する認識が疎いというか、全体的に誤認のブレイン・ストームであり、必然的に孤独。やけくそで自己陶酔。捨て鉢で特攻。結果オーライ。さらに酩酊。という悪循環がここにあり、本人は至って幸せ。内的世界は荒廃どころか無駄に豊かさを増大させ、益々居心地絶好調。死ぬまで泥酔。覚めない夢。という快楽無間地獄が発生する。

 よーするに、話だけ聞くと全然ダメで、書いても増してダメなんだが、実際会ってみると無駄に美形なので女性諸君は愕然、その間隙をついてくる魔の手も異常に早いので、もぉ人として弁解の余地がないダメさ加減で呆れてものも言えねえ。

 ウナギAはこの辺もよくわきまえており、他の誰よりも小生の抱える女難の根本原因に通じている。(具体的な女難については恋愛編でいずれあらためて述べる)

 ウナギ曰く「女は、お前を知らない、で、恋に落ちてる」。だそうで、さもあらんである。




 改めて自分で言及するのも無粋な話だが、小生は思考回路こそ極めて単純だが、人柄的には難物・曲者の部類に属す「韋駄天テトリス」である。

 積層構造の装甲で幾重にも余計な理論武装している上、順法意識のまるでない本体は独特の倫理観に無意識レベルで囚われまくり、どだい性根が乱である。その一方、実社会では特別ストレスも感じることなく適当に人間関係をさばき、人間関係悪化。まあいいんじゃねえの。という体たらく。(社会性ねえ

 時に身を挺した異常な親切を発揮するかと思えば、他人を能動的に破滅させることをなんとも思わず、場合によっては喜びに感じるび冷血さと病的な暗さを持つ。躁の根暗である。

 原則的におしなべて低能だが、ない袖を振ることをハナッから諦めている為、実務能力の絶望的な欠如をものともせず、問題を力ずくで乗り越える反則技に特化。やることなすこと全部禁じ手。金ずくの仕事はいい加減。一方ライフワークにゃ至極誠実。こんな奴を雇う企業は馬鹿。(馬鹿はお前だ。201V1。

 ふつう、こういう偏った人格をもつと、精神的な均衡をとるのが困難な為、不安定になってしかるべきなんだが、そこが現実に生きていない「白昼夢在住者」の恐ろしいところであり、精神的には終始極めて安定した状態を保っていられる。

 「変わり者」ゆえに受けてきた長年の弾圧から、ストレス耐性が出鱈目に発達しちゃった背景もある。人間離れした打たれ強さは小生の唯一の長所だ。

 修羅場になれきっている為に危機的状況下でも飄々としていられるため、実は人生はかなりのどか。だから頼もしく見える。(実際は頼るうんぬん以前にトラブルの元。

 こーゆー腐れた人格がへばりついているのが筋肉質の細身バディであり、首の上には女好きのするツラが乗っかっている。でもって当人自身も見境のない女好き。(以上、和魂要塞構造解析終了)
 

 こうやって手づから文章化すると、悪夢のようなおっさんだが、思いやりがあるっぽい行動(なんにも考えてない事が多い)が目立つのと、向こう見ずに気風がいいのと、単純に馬鹿なのと、普通は消失していてしかるべき子供じみたド根性と熱血があるため、実社会では理論値と比較してあんまし人に嫌われない。(※実社会で小生を目の敵にするタイプは共通してピー一歩手前の人々である点が興味深い。※ただし、好かれることと理解しあえるかはかなり違う。→結果小生の友人は少ない)で、たぶん、恋に落ちた女性の殆どはここしか見えていないし小生もあえて見せない。必要に迫られる場面がないのに、わざわざ獣を起こして獣性を見せ付ける理由がないからだ。だから後々ひどいことになる。

 
 ウナギAはよくよく小生の業を理解しており、女難の原因の正鵠を得ている。それは予備知識なしにジキル博士と付き合えば、双方にとって悲劇であると言うことである。

 ウナギAとの約束で、「今度の女は、友人の期間を置いてからにしろ」というのがあった。そのうえで「俺が見て、判断する」という一種のウナギによる「201V1の女資格試験」であり、検閲である。

 

 ウナギ    「まぁ、そんな女はいねえけどね」

 201V1   「馬鹿野郎、行列ができるわい」

 ウナギ    「パスする女がいねえんだよ」

 

 ウナギ野郎、ぬけぬけとぬかしやがった。

 

 とゆーわけで、ウナギとの約束だが、こんな面倒な手続きを得てやってられるほど人生は長くなく、根腐れを起こす前に約束はしたが破った。

 「だって、キュンとしたんですもの。」(大ばか者)


 
 ウナギAの世界では、和魂要塞は認知はされているのだが思いっきりなかったことにされ、そこでは酔いどれ暴れ馬が白昼夢の中でカルマと格闘しているだけである。おっさんになった今も、たまにウナギに会うとナマの自分に出会えて楽しいが、いい加減そろそろ一端筆をおかねばなるまい。名残惜しいがここでウナギの世界は了である。

 


 あの約束をした夜、ウナギは「おしかったな」という顔で最後に言った。

 「俺が女だったら惚れてただろうね」



 なかなか味な事をいうじゃねえか。兄弟。


 
 
 
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 この和魂要塞巡りシリーズは続きます。(うそーん)

 
by 201V1 | 2004-05-10 20:35 | ■友人 
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